1.総評
「見える」安全活動コンクールは4年目を迎え、認知度の高まりから、応募数は昨年度の倍を上回る792件となった。昨年度に引き続き、企業等の新しいアイデアによる活動や相当な試行錯誤の結果として取り組まれている創意工夫を感じさせる事例が多数収集でき、今後ホームページ等での公開を通して水平展開を図れることは大変評価できるものである。
また、応募事例に対する投票数は昨年度の3倍であり、本コンクールのホームページへのアクセスの高まりを考慮すると、より一層の関心が認められたと考えられる。特に、高年齢労働者等を意識した大文字化等による情報の見やすさ・気付きの向上や音声を活用して注意喚起を図った事例、GPSを活用した事例など新たな提案も見られた。
さらに、応募された企業・事業場は200近くにのぼり、主に建設業、製造業からの応募が多かったが、教育・研究業、清掃・と畜業の業種や中小企業からの応募も見られ、優良な活動事例としても認められたことから、更なる活性化が期待される。
2.優良な事例について
以下の類型ごとに、創意工夫が認められる、簡易な取組であるが効果的であると評価できる優良な79の事例を選考した。
3.「見える」安全活動に取り組むに当たっての留意点について
安全衛生管理体制を確立し、機械設備に対する安全措置、作業方法の安全化、安全衛生教育等を的確に実施する上で、これらの安全衛生対策をより効果的なものとするための手法の一つが、「見える」安全活動である。
従って、もととなる対策を的確に実施することなく、取組手法たる「見える」安全活動の好事例を形だけまねて実施しても、十分な安全衛生対策とはならないことに留意する必要がある。
4.第12次労働災害防止計画との関係
平成25年度を初年度とする第12次労働災害防止計画(以下「12次防」という。)では、「誰もが安心して健康に働くことができる社会を実現する」ことを目指している。
「見える」安全活動の取組は、12次防の柱の一つである「社会、企業、労働者の安全・健康に対する意識変革の促進」に関連して、労働者一人一人の安全に対する意識や危険感受性を高め、労働災害防止に結びつけることにより、労働災害防止に向けた国民全体の安全・健康意識の高揚を目指すものである。