現場視察・見学会
現場視察実施企業
見学会実施企業
開催概要
- 日時
- 2025年11月7日
- 場所
- 株式会社グリーンテック
- 内容
- 安全人間育成に向けた社員教育の取組紹介、教育施設見学
実施模様
労働災害の防止、安心して働ける職場環境づくりを目指してSAFEコンソーシアム会員事業者参加による「安全衛生見学会in愛知」開催
2025年11月7日、厚生労働省 SAFEコンソーシアム事務局では、労働災害防止と安全な職場環境づくりを目的に、コンソーシアム会員事業者による「安全衛生見学会in愛知」を開催しました。今回、視察先となったのは、SAFEアワード2024年度 サービス産業/「安全な職場づくり部門」でシルバー賞を受賞した 株式会社グリーンテック(本社:愛知県名古屋市)小牧営業所。社員の安全スキルの向上ならびに、同社が掲げる“安全人間“の育成に向けた教育現場を見学しました。
労働災害ゼロを目指し、革新的な社員教育を実施
自動車業界をメインに、品質サポート事業、エンジニアリングソリューション事業、ILメンテナンス事業の3事業を中心に人材サービスビジネスを展開する株式会社グリーンテック。同社は2020年に、労働安全およびお客様品質に関する活動推進部門として「業務品質部」ならびに、安全を最優先する組織文化の浸透を目的に「安全管理部」を新設。2025年度には3ヵ年計画の「グリーンテック 安全ビジョン2027ロードマップ」を作成し、業務災害を半減させるべく、「安全人間育成活動」に取り組んでいます。
今回の「安全衛生見学会」では、参加者たちが同社の教育施設「安全人間育成道場」を見学するとともに、その取り組みを体感しました。
自分の特性を理解したうえで、安全意識と向き合う
教育施設の見学に先立ち、厚生労働省 労働基準局 安全衛生部安全課の吉岡氏から挨拶があり、この見学会の趣旨が、業種の垣根を超えて安全対策を共有する取り組みであることを説明。今日の見学会で得た知見を自社における今後の安全対策に取り入れてほしいと呼びかけました。
その後、株式会社グリーンテックの平野さんから同社の事業紹介、安全への取り組み、「安全人間育成活動」についての説明がありました。
続いて、自分の行動特性の認知を目的に全社員に対して実施している「KKマッピング」を参加者が体験。この「KKマッピング」とは、危険感受性・危険敢行性について21問の質問に答えることで、4つのタイプ(安全タイプ・自信のない安全タイプ・過信の不安全タイプ・ついつい不安全タイプ)に分類され、自分の特性を知るというもの。自分がどんな特性を持っているのか、どんな行動をとりがちなのかを事前に理解することで、自分の不完全な行動を未然に防ぎ、改めるために使用されます。参加者も「KKマッピング」によって自分のタイプを知ることで、自身がとってしまいがちな危険な行動を改めて考える機会となりました。
社内教育施設「安全人間育成道場」を体感
参加者は「KKマッピング」実施後、社内教育施設「安全人間育成道場」の見学を行いました。
入り口には「安全道場」と書かれた緑色の“安全の門“が設置されており、この門をくぐることで「今から安全について学ぶ」という意識の切り替えが促されるそうです。
安全人間育成道場は、育成道場エリアと体感道場エリアに分かれていて、最初に現れるのが大きな鏡です。ここで服装や髪型など身だしなみを整えるとともに、服装の乱れが労働災害につながるリスクについて理解します。
続いて、過去に社内で発生した労働災害事例をもとにしたクイズが出題され、事故を未然に防ぐためのルールの必要性を学び、現場で求められる安全行動への理解を促します。見学時に紹介された、保護具や化学物質のSDS( Safety Data Sheet )を題材にしたクイズでは、危険有害性や適切な保護具の選択・着用方法など、現場に直結する知識を身につけることを目的にしています。
育成道場エリアの締めくくりとして最も重視されているのが KYT(危険予知訓練)。実際の事例をもとにしたイラストの中にある危険ポイントを整理し、どんな危険が潜んでいるのか、どう対策すべきかを自ら考えることで、現場での危険感受性を高める目的があります。実際の訓練では、新入社員と類似業種に従事した経験のある中途社員ではKYTに関する知識に差があるため、レベルに応じてヒントを出しながら進めるなど、きめ細かい丁寧な指導を行っています。
各種装置を用いて、五感で事故の恐ろしさを疑似体験
次に見学した「体感道場エリア」は、労働災害の“怖さ“を目で見て体感するための装置が複数設置されていました。今回は時間の関係で、6つの装置のデモンストレーションを実施していただきました。
まずは、普段着用している安全靴と一般的な靴の安全性の違いを確認する「落下体感」。それぞれの靴に粘土を詰め込み、6kgの重りを上から落とした時の状態を視覚で確認するものです。当然ながら一般的な靴の中に入れた粘土は完全に潰れてしまい、「もし、これが自分の足だったら…」を強烈にイメージさせることで、安全靴の重要性を理解させる効果が高くなっています。
続いて、「切創体感」のデモンストレーションを見学。こちらは、通常の軍手と耐切創性の高いケプラー軍手の強度を比較するものであり、スパッと切れてしまう軍手を見ることで、適切な保護具を選択することの重要性を再認識させるものでした。
次の「巻き込まれ体感」は、回転工具に手や指が挟まれた場合の状況を再現するもの。
参加者が割り箸を持ち、歯車とチェーンの間に挟まれた際の状態を体験。挟まった割り箸は大人の力でも抜くことができず、チェーンを回すと完全に折れてしまいました。ちなみに割り箸の強度は人間の小指の骨とほぼ同じという説明が、実際に自分が巻き込まれた際を想像してしまい恐ろしくもあり、事故の危険性と重大性が伝わるものとなっていました。
また、「粉じん体感」では、保護メガネの隙間から粉じんが侵入する様子を見せることで、適切に粉じんを防ぐことのできるゴーグル着用の重要性を訴求。さらに、「感電体感」では、電源プラグなどの不適切な取り扱いがどれほど危険であるかを、低周波治療器を用いた体験で学びました。
最後に見学した、物流現場で実際に起こり得る「転倒体感」は、床に転がるベアリングに足を乗せた際の不安定さを体験することで、日常の何気ない場面に潜む危険性を理解するもの。実際には、社員がヘルメットや防具を身に付けて転倒リスクを体感されるとのことでした。
過去の災害から学び、未来の安全につなげる
「育成道場エリア」「体感道場エリア」の見学後、実際に労働災害にあった同社社員や関係者へのインタビュー動画を視聴。実際に事故が起きてしまった時の状況、被災された本人だけではなく、ご家族も悲しませてしまうという生の声を聴くことができました。社員一人ひとりに労働災害を抑えたいという気持ちが芽生えるようにという安全人間育成活動の「心」に着目した取組です。被災された方の生の声は非常に言葉が重く、身近に危険が潜んでいることを強く再認識させられるものでした。
すべての取り組み見学終了後、参加者からの質疑応答の時間が設けられ、「安全人間育成道場」が現在の形になるまでのプロセスやこだわり、「KKマッピング」のさらなる活用法についての議論がありました。
今回の「安全衛生見学会」では、“安全人間“を育成するために株式会社グリーンテックが実施している革新的な取り組みに触れることができました。知識だけを学ぶのではなく、「育成道場」「体感道場」での実体験教育を通じて、現場で働くすべての社員が身近な危険を理解し、主体的に安全行動をとることを目指した同社の取り組みは、参加者に強い印象を残すものとなりました。
